対象印象

kasta22007-07-18



ニューオータニで開催中の江頭慎さんの展覧会「都市を歩く表象」を見てきた。ガラススクリーンに映された歩く象と、重ね合わされた都市の風景。スクリーンとプロジェクターを載せた装置がセンサーによって人間を感知しながら、レール上を動く。ガラス。エアコン。タイルカーペット。ハロゲンスポットライト。ホテル住まいのすました象たち。

いまは水をたたえた建設中の灰塚ダムの底で白い象を「押した」。コンパネでつくられた実物大の象のシルエット。脚代わりにキャスターをつけて公道上を移動した。PHスタジオの「船をつくる話」のために木材を集めるのが彼の仕事であり、僕の仕事でもあった。住民たちが退去した埃っぽいダムサイトを巡り、道ばたの山火事を通報し、小学校や役場を訪ねて回った。真白く塗られた象は1日たつと跳ね上げた泥や、子供立ちの手垢で汚れた。

ロサンゼルスではリングリングサーカスの象たちが次の公演場所まで歩いて移動したそうだ。インターネットに乗って世界中に配信された高速道路の高架をくぐる象たちは、こころなしか身を縮めているように見える。