日本一の技術力

kasta22006-04-25

そりは長野県上田市の斎藤木材工業という集成材のメーカーでつくっています。この会社は、知る人ぞ知る技術力を誇る会社で、伊東豊雄さんの大館樹海ドームなど名だたる大断面木造建築物を手がけています。今回、作品をつくるにあたってご相談した構造家の大賀さんの紹介で斎藤木材さんにお願いしたところ、こころよく引き受けていただきました。
ところで、このそり、一見シンプルな形状なのですが、制作するのは相当に大変なのです。なぜならカーブした滑走面に傾斜したリブがついているために全体が三次曲面になっていて、設計するのも切削するのも難しいのです。試作品をつくるのも9台を数え、ようやく目論みどおりの形ができあがりました。打ち合わせにも5〜6人のエンジニアの方が半日以上もああでもない、こうでもないと頭をひねっていただいて、申し訳ないほどに熱心に取り組んでいただいています。
そして、もうひとつ。制作を難しくしているのは、実はこれは単なるそりではなく、ひっくり返して連結していくとひとつながりのアーチになるという計画になっているためなのです。冬には思い思いに使われていたそりが、夏になると集まってひとつのアーチ屋根をかたちづくる。9台で1アーチ、5列で計45台。統廃合や合併や廃村といった流れとは少し逆のことをしてみる、ひっくり返すというやり方。
この日は工場の一角を借りて、初めてアーチのモックアップを組んでみました。写真は自らぶら下がって強度試験をしてみているところです。遊んでいるようにしか見えないですけど。